2026 SS COLLECTION “Virulent Beauty”

チューリップの花弁に走る、不規則な斑点や縞模様。
その妖しい美は、ウイルス感染が生み出した「病の痕跡」です。17世紀オランダでは、この「ブロークン・チューリップ」が奇跡のように珍重され、一輪の斑点が市場と人心を狂わせました。

自然史の記録を辿れば、ランやユリの花弁に浮かぶ斑点もまた、遺伝的必然と環境ストレスによる偶然の交差から生まれています。葉に広がるまだら模様、果実に刻まれる点や傷――それらは病原菌やウイルスの仕業でありながら、人の眼差しには美の標本として立ち現れます。

「欠陥」や「病」とされるものは、決して欠けているのではありません。それは自然が偶然描いた、二度と繰り返されない唯一無二の模様。むしろそこに、新たな価値が芽生えます。

本コレクションでは、その痕跡を博物学的に採集し、布の上で再構築。病から生まれる美を「未知のドット」として捉え直し、不完全さの中に潜む力を纏うことで、自然と人間の関係を新たな視点で記録します。

 

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